設立趣旨書

我が国は、高度に発達した経済社会の反面、少子高齢化問題等を抱え、更なる財政赤字が懸念され、対策が急がれている。しかし、国民が安心して生活を営む為には、医療、介護、福祉の充実は不可欠であるが、前述の諸問題は国民に不安を与えている。この問題解決は、政治や行政の力のみでしか成し得ないことであろうか。医療福祉の実務家及び研究者の英知を結集し、安全で効率の良い医療福祉現場の確立や政治・行政への提言をできないであろうか。ここに“日本医療福祉学会”を設立する所以が存在するのである。
私達は、医療福祉の科学技術的研究並びに医療制度・福祉政策等を研究対象とし、その学際領域を中心に医療福祉の学問体系確立に資し、社会貢献を行いたいと願うものである。従来の学問体系では、医療福祉の科学技術的研究は、自然科学の範疇である。一方、医療制度及び福祉政策等は、社会科学の範疇である。しかし、実社会で役立つ知識は、学術分類の壁を取り外し、融合した世界で研究を進めてこそ、より充実した成果が得られるであろう。

具体的には、医療・薬・看護・助産・福祉・介護・理学療法・作業療法・音楽療法等を自然科学として、医療福祉学の研究対象のベースとする。これらを医療や財政を中心とした政治行政・法制度、医療福祉現場の人材教育や財務、情報を中心とした経営、国民の医療・社会保障・保険への啓蒙等、社会科学の視点で融合し、解決アプローチを模索する。

そしてこれらを、医療福祉学の学際的領域の総合医療福祉論として、実社会の諸問題解決・発展に寄与する学問体系の確立に資する事を決意したのである。

我々は、この決意の下、ここに“日本医療福祉学会”の設立を宣言するものである。

平成17年4月8日

日本医療福祉学会 設立発起人会一同